俺様プリンセス【BL】
「恭介、溜まってんの?」


 背後から掛けられた声に、俺は振り返らず「寝起きなんだから仕方ないだろ」とだけ返す。

 ぺたぺたと足音を立てながら洗面所へ向かい、顔を洗っているとヒメの足音が近付いて来るのが分かった。


「恭介」


 腹でも減ったのか、と思い適当に返事を返してフェイスタオルを掴んだ時だ。


 背中に、温かい重みを感じる。

 腰に回された腕が、更なる密着を生んだ。


「……どうしたんだよ。まだ寝惚けてんのか?」


 努めて冷静に。

 俺は、ぽたぽたと水滴の落ちる顔を背後のヒメに向ける。

 俺の背中に顔を埋めていて、頭しか見えない。

 とりあえず顔を拭いて、ヒメの腕を解こうと掴むけど、ヒメは離れようとしない。

 がっしりとホールドされて、身動きすら取りづらい。
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