恋愛ごっこ
「気付くのが遅ぇ」

ベッドの端に腰かけて紘翔が言った。

「遅くないし」

紘翔が私のこと好きなんて思えるはずも無かったし。

「俺はずっと前から好きだったんだよ」

「ずっと前っていつよ」

ホントにいつから私のことなんて好きなのよ。

「お前と初めて会った時だ」

初めて会った時って……相当前でしょ?

私たちの両親が初めて私たちを合わせた時。

物心ついたばっかのとき。

「…それこそ嘘でしょ」

「嘘じゃない。一目惚れで初恋だ」

一目惚れって……。初恋って……。

え、嘘……。

そんな前から?

「ほん……とに?」

「ほんとだ」

こんなに長い時間一緒にいてそれらしい行動全くなかったのに?

「………本当に…信じていいの?」

「当たり前だろ」
< 112 / 121 >

この作品をシェア

pagetop