恋愛ごっこ

こんなときでも私は弱みなんて見せる気ないんだから。

紘翔を少し横目で見たけど、視線がぶつかることはなかった。

「ま、何はともあれそういうことなので！これからはダブルデートとか出来るね！」

ものっ凄く笑顔な伊織が何を言い出すかと思えば……。

ダブルデート？

別に、デート自体を止める気はないけど。

何で私たちまで？

するなら二人ですればいいでしょう？

こういうのはすきあってる同士でするからこそ意味があるもので、私たちには関係ないこと。

「それは楽しそうだね」

「紘翔もいいでしょ？」

「あぁ」

紘翔までっ？！

別に楽しくなんて無いし！！

伊織に彼氏ができたことは、私にまたひとつ憂鬱が増えただけらしい。