恋愛ごっこ
ていうか、学園祭自体あまり好きじゃない。

無駄に金を使った学園祭。

有名人を呼んだり、高級食材をふんだんに使った喫茶店とか、世界の珍しい物の展覧会とか。

しかも学園祭には親もたくさん来る。

もちろん大きな会社の社長とかもたくさん。

下手なことはできない。

なのに、どう楽しめっていうんだか……。

多分、私と紘翔の両親はこない。

仕事が忙しいだろうし、私たちは特に何かをやるってわけでもないし。

「到着いたしました」

いつの間にか家についてて、運転手の一言で現実に引き戻された。

「ありがとう」

相変わらず無言のまま降りる紘翔を見て気がついた。

…そういえば……紘翔って素ではあんまり喋らないけど、私の言葉には必ず返事してくれてる気がする……。

不愛想だけど。

…気のせいかな…?
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