恋愛ごっこ
「降りろ」

目隠しだけ外されて、車の外に降りた。

周りに人気はなかった。

周りに家なんて無い倉庫の中。

私はこれからここに監禁されるらしい。


倉庫の中は意外にも綺麗だった。

掃除もされてて清潔だったし、生活には困らなそうな。

中だけ見たら普通の家。

「反抗すんじゃねェぞ。どうせ逃げられねぇんだからよ」

そう、一人の男が言って私の縄をほどいた。

本当に完全に解放されて……

逆に困る。

声の人数的にも、この部屋にいる人数的にも、最低でも男が10人以上いる。

そんなとこで逃げようとは思えない。

私は武道も習ってないし、運動神経もいたって普通。

ドアの向こうには見張りがいるだろうし、部屋の窓には鉄格子。

逃げる気も出ないけど、逃げることは不可能。
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