恋愛ごっこ
呼ばれてクロを見上げたら、手に携帯を持っていた。

「今からお前の両親に電話する。結果は楽しみに待っとけ」

念の為か、クロは部屋を出て行った。

両親……か。

お父様とお母様は心配してくれるのかな?

流石にここまでちゃんとした誘拐は気屋上は初めて。

……中に入ってみればちゃんとしてないけど。

伊織は…多少は心配してくれると思うけど。

紘翔は…………。

何も思わないかな。

偽りの関係だし。

私も紘翔が心配してくれるかなんて考える必要もないんだから。

クロが帰ってきて、私の思考もそこで終わった。

さっきから思ってたけど、ここは家とそんなに変わらない気がする。

人気のない部屋の中、小人数の人がいる。

私の部屋みたい。

「どうだった?」

「答えはまだくれなかったけど、相当焦ってたぜ」

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