電界妖怪 〜マカフシギ〜 ①
すると、忠君が
「じゃあ、オレもう、帰るから」
「え?帰っちゃうの?」
「だって、このままいたら、また消滅の現象が起きて、家族が困っているから。早く帰らないと」
この時、私は忠君は実は家族思いが強い人なのかも。って。そう思えた。健輔君がそういうイメージだから本当の忠君の姿が見えなかったのかもしれない。
そのまま、周りをよく見て、忠君は走って行った。
いつの間にか男性の姿は消えていた。お話でもしていたら諦めて行ってしまったのだろうか?
私は裏道から抜け出して、商店街近くの道場で戻ってきた。というよりも、戻ってこれた。忠君に道を尋ねておけばよかった。でも、なんとか、暗くなる前に家に帰れそう。
私は、そのまま真っ直ぐ家に向かった。
なんだろう。なんかものすごく走って疲れた。そう言えば、私こんなに必死に走った事、そんなに無かったっけ。まあ、運動会は秋だし、ちょっとした運動と思えばいいか。
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