駆け抜けた少女【完】
その頃、壬生浪士組屯所では沖田が暇を持て余していた。
先程から机と睨めっこばかりで一向に自分の相手をしてくれない土方、そんな土方の背後でうつ伏せになりダラダラしている。
「土方さぁん、私とっっっても暇ですぅ」
「……………」
「あっ、そぉだ! 四条通りに美味しい甘味処を見つけたんですよ。散歩がてら行きません?」
「……………」
無視だ。無視を決め込む気だなと、沖田はその白い頬をぷくっと膨らませる。
ーーーー…ん。 何か騒がしいですね?
障子戸に手を当て、門の方へ顔を向けた。
「――なんだ? 騒がしい。せっかく人が傑作を考えていたってのによぉ……」
「何やら、入り口が騒がしいですねぇ」
「来客か?」
「……さぁ」