駆け抜けた少女【完】


「痛くないの?」と、藤堂に尋ねられた矢央は、サッと腕を前に出し上下に動かしてみせた。


「大丈夫です!」


やはり完全に回復していて、不安な表情で見つめてくる藤堂にニコッと笑顔を向ける。


矢央の怪我を一番気にしていたのは藤堂なので、矢央も安心してほしいと意を示した。


すると、パァッと顔が赤みを増し藤堂は勢い良く矢央を抱きしる。


「良かった!! 本当に良かった!」


うっすら目に涙を浮かべている。
反対に抱きつかれた矢央は顔を真っ赤にして驚いた。


「あっ、あっ、藤堂さんっ!?」

「矢央ちゃんが、普通の人じゃなくて良かった〜!」

「……………」


どういう意味じゃ、ワレ。

と、殺気が矢央を包み込むが、藤堂はそれ気づかず。


矢央の据わった表情に気づいていた永倉、山南は少し後ずさりした。


と、その時――――――



< 105 / 592 >

この作品をシェア

pagetop