駆け抜けた少女【完】


取り敢えず男達は少女を土方の自室に運び込み、敷かれた布団の上に少女を休ませる。


暫く沈黙が続いた。


「驚きました、川の中で倒れている女を見つけ助け起こすと……あまりにも彼女に似ていて」



沈黙を破った永倉。
土方は息を浅く吐き捨て、隣で眠る少女を食い入るように見つめている沖田に目を移す。


最初助け出した時、その吐息の小ささに気づかず死んでいるのかと思った。


今の京は数多くの不逞浪士が身を隠している物騒な世、この少女も何かに巻き込まれたのかもしれないと。


だが微かに息をしていると気づき三人は直ぐ様屯所へと運んで来たのだ。


「総司、別人だよな?」


神妙な顔付きで藤堂は、前に座った沖田に尋ねる。


沖田は、今にも泣きそうな表情を浮かべ、


「…当たり前…じゃないですか。 彼女が…お華がいるわけがない……」



その後沖田はグッと唇を噛み締めた。



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