駆け抜けた少女【完】

大坂には京都にはない名物や文化も沢山ある、役目も終わったなら何故出掛けないのかと疑問が浮かんだ。


昨日、近藤が役目を終えたら沖田にでも大観光に連れて行ってもらえと言われ

だから、役目を終え帰ってきた沖田に言えば「近藤さん達が戻られたらね」と、沖田にも既にふられていた。


だからか、沖田に対しても矢央は八つ当たりをしていた。



「暇ーっ! それに、暑いっ!」

「……矢央、わめくな」

「永倉さん達は良いじゃないですか。 私より、涼しそうな格好なんだから」


六月にもなると暑さは増し、着物の帯でビシッとされた矢央は着流しや稽古着姿の男性陣の格好は涼しげに見える。


沖田や斉藤は着流し姿で、斉藤は正座してきちんとしていたが、沖田に至っては暑さにだらけ、白い足をさらけ出している。

それをムスッと見やり、


「沖田さん、はしたないですよっ」

「う〜ん、私は男ですからねぇ」


あっさり返された言葉に、眉根を寄せることしか出来ない。


現代だったら、クーラーはあるし涼しむための服だってあるのに、なんて不便な時代だと矢央は溜め息を吐いた。


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