駆け抜けた少女【完】
「……ん………」
少女はゆっくりと瞼を持ち上げると、頭の痛みを感じた。
痛い。
ふらつく体を起こし、痛む頭を押さえながら少女が見つめたのは灯火に照らされた眠る沖田の姿。
障子戸に持たれる沖田の背後では、真ん丸な満月があった。
「綺麗な人………」
灯火と月に照らされた美顔ならいつまで眺めていたとしても飽きないだろうと、少女は小さく微笑んでふと気がついた。
此処は何処だ?
確か気を失う前はまだ日中で、しかも神社にいたはず。
なのに既に夕刻は過ぎ、見慣れない座敷にいる自分が今まで何をしていたのかと頭を悩ました。