駆け抜けた少女【完】
*
真っ暗闇に、ポツリと浮かぶ光の筋。
その中に、少女がうずくまっていた。
痛い、痛い。
苦しい。
悲しい。
辛い。
寂しい。
ガタガタと震える少女は、ただただ願っていた。
戻して!
帰して!
返して!
少女は、少女に訴えた。
すると、声が聞こえ、顔を上げたのは……
矢央。
『どうして、守ってくれないの?』
「――――え?」
キョロキョロと見回しても、見えるのは闇ばかり。
どうやら、声は心に直接話しかけている。
.