駆け抜けた少女【完】

何度か夢の中で会った少女。


少女は、そこを自分達を繋ぐ異空間だと言った。


暗闇に一筋の光があって、そこに少女は悲しい顔を浮かべている。


ーーでもさ、いつも肝心なとこで消えちゃうんだもん。 自分の言いたいことだけ言って、はいさよならって卑怯だよね。


今朝見た夢の中では、初めて矢央の問いに答えが帰って来た。

だが、やはり肝心なことを答えはせず曖昧にはぐらかし、少女は消えた。






頭の中がグチャグチャだった。

信じてもらえない歯がゆさと、自分が何のために此処にいるのかわからず、これからどうすればいいのか。


途方に暮れていた。


自分は一人なのかもしれない。

この時代には、自分は存在するはずがないから初めから一人だったのかもしれない。


だけど、一人はとても寂しい。

「信用してくれないなら、何処かに閉じ込めてくれたらいいっ! 何処にも行けないように、私は疑われてるんだってわかるように接してくれてたらよかったのにっ……」


山崎は、矢央の震える肩をじっと見つめていた。


たまに見かけていた少女は気が強くお転婆な娘、けれど本当は強がっていただけか…と。


こんなに華奢な体躯で、沢山の謎と孤独を背負ってしまったのかと。


「みんな…優しいからっ…勘違いしちゃったんだよ?」

「勘違い?」


流れた涙を見せまいと、ゴシゴシと拭う。

やはり、やせ我慢をするタイプだと山崎は思う。



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