駆け抜けた少女【完】
まただ、また最近よく夢を見ていた。
いつものように、闇に一筋の光が通り、その中に少女が佇んでいる。
今までと違うのは、少女が涙を流してはいないということだ。
お華…さん…?
自分にそっくりな少女が、お華なのだろうとわかっても、どうして彼女と自分が繋がっているのかは未だにわからない。
矢央は、勇気を出し距離を縮めていく。
「お華さん?」
名前を呼ぶと、俯いていた顔を持ち上げ艶のある黒髪が揺れた。
―――――ゾクッ…
身震いがし、矢央は体を抱きしめる。
どうして……。
いつも泣いていた少女は、冷たい表情を浮かべながら矢央を真っ直ぐ見据えると
『邪魔者がいるのです』
と、気持ちの全く籠もらない声を発した。
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