駆け抜けた少女【完】
「似ている? 誰にですか? てか、あなた初対面の人間前にして第一声が『驚いた』は無いでしょっっっがっ!!」
目を見開き驚くのは言われた本人だけではなく、そこにいた男達皆同じ。
どう見ても儚げで可憐な少女が、大口開けて怒鳴っているからだ。
「……絶対…別人だ。お華ちゃんは、おとなしい女の子だもんね……」
次に少女の癪に障ったらしい藤堂がギッと睨まれ、ビクッと肩を竦める。
ーーーえっ? ぼ、僕ですかっっ。
「お華だぁぁっ? しかも、おとなしいって…。
どうもごめんなさいねっ、私見た目と中身がギャップあるってよーく言われるんですよっ!」
ーーーひょええええっ! こ、こえぇぇ!
ビクビクと怯える藤堂の横にいた永倉は呆れてため息をつく。
ーーー女に脅される野郎がどこにいんだっつうの。
緊迫するムードの中、土方は先程の少女の言葉に違和感を感じ「おい…」と、少女を呼んだ。
振り返った少女に、
「"ぎゃっぷ"…てぇのは、いったいなんだ?」