駆け抜けた少女【完】
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「芹沢さ〜ん、おはようござ…」
「…ンッ…ハァ…アア…」
―――ガシャンッッ!
朝一番にお茶を持って芹沢を訪ねた矢央が目にしたのは、芹沢とお梅の事情だった。
濡れ場面を目撃してしまった矢央は、その場に固まってしまいお茶を零した事にも気づかない。
「ちょっ―…芹沢は、ん…」
矢央に気づいたお梅は、白く艶めかしい肌を晒しながら、芹沢を押しのけようとする。
が、芹沢は、そんなお梅の真っ赤な唇を自身の唇で塞いでしまう。
「なっ…なっなっななな!」
「…ん…間島か…どうした? 用があるなら言え」
お梅の首に食らいつく芹沢。
肌に何も身につけていない男女が交わっているのが、どういった状況かくらい矢央にだってわかる。
用件を言えと言われて、平然と言える程、矢央は大人ではなかった。
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