駆け抜けた少女【完】

顔を赤くする矢央に、芹沢は意味ありげに微笑する。


「なんだ、まだ生娘か。 それでは、この男所帯だと苦労するやもしれんな。 なあ、お梅よ…」

話を振られたお梅は、返事を返すどころではない。

そして、矢央は口をパクパクさせながら更に顔を赤くした。


「な、何を訳わかんない事言ってんですか! 朝っぱらから、そ、そそんなことしないで下さいっ!!」


一気に罵った後、バンっと障子を閉めた矢央はドカドカとわざと足音を立て八木邸を逃げ出していった。





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