駆け抜けた少女【完】
「お梅よ……」
「なんおすか?」
「いつまでも、俺と共にいてくれるか? その美しい姿のまま」
「芹沢はん……?」
いつになく真剣な表情。
その目には何が映るのか。
お梅は、不安を感じずにはいられなかった。
芹沢が、今にも消えていなくなりそうに思えた。
「芹沢はんの、お側にずっとおります」
そう言って、不安を追い払う。
ずっと永遠に、愛しい人と共にいたいと願うお梅。
そんなお梅の肩を力強く抱き締め、芹沢は頷いた。
しかし、芹沢の脳裏には幼い少女の笑顔が浮かぶ。
美しき開花せぬ華よ、まだ咲急ぐなよ―……。
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