駆け抜けた少女【完】
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「つまりですね、多分ですが…私未来からこの時代にやって来ちゃったみたいです」
冷静さを取り戻した少女は簡潔に説明を終えたつもりでいた。
だが、そんな非現実的な説明では誰が納得できる。
男達の頭には(?)が浮かび上がっているのが、漫画のように見えるようだと少女は思った。
この説明だけでは納得しないか、では何と言えば理解できるのか。
ーーー私だって信じられないんだけどね。
元々深い考えはせずお気楽で天真爛漫な性格の少女だから、この事態も深く考えていなかった。
考えたところで、きっと納得の行く答えなんて出ないのだから………。
「つまりは、えっと……」
まだ名前を名乗っていなかったと、困った顔をする上座に座る男の反応で思い出した。
「私の名前は、間島矢央と申します。 えっとぉ、多分…近藤勇さん…ですよね?」
「…驚いた。 私が誰かわかるのかね?」
どうやら合っていたと、安心する矢央。