駆け抜けた少女【完】




その頃、矢央は土方達とは別に大和屋へと来ていた。


朝からの胸騒ぎを更に煽ったのは、夜になり土方らが一斉に出掛けて行ったからだ。


誰かに何があったか尋ねようにも、皆慌て屯所から出ていくので聞くタイミングがはかれずにいた。


近藤も土方も出払い、永倉や沖田達まで出払い、どうしたらいいのか途方に暮れていると


「うちと一緒に来てくれはる」


そう矢央を連れ出したのは、お梅だった。



お梅とは、それ程親しい訳でもなく、ましてや先日ある事情を目撃してしまったため顔を合わせずらかったが、一人で屯所にいれば更に胸騒ぎがして、矢央は着いて行くという判断しか出来なかった。


そうしてお梅に連れられやって来たのが、芹沢が焼き討ちした大和屋である。




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