駆け抜けた少女【完】


歴史を知らない自分には、こうなることすらわからずに過ごして来た。


近藤達と芹沢達が上手くいっていないのは、間に挟まれていた矢央にもわかっていて


確かに浪士組で一番偉いはずの芹沢は、名ばかりで実際の仕事をこなしていたのが近藤達だとも見てきて知っていた。


なのに芹沢の傍にいながら、芹沢が苦悩していたことに追い込まれていたことに全く気づかなかった。


自分より後に芹沢の傍にいるようになったお梅は、芹沢の変化に気付いていたのに……


自分は、今まで何を見てきたのか。



芹沢さん……。


もっと早く気づけていたら、二つの派閥の仲介に入れていたかもと思うと不甲斐なさを感じた。


「……でも、こんなことしたら」

益々、芹沢の立場が悪くなるばかりだと。


「止めても無駄や。 何しろあんたが…」


お梅が止めるのも聞かず、矢央は芹沢のもとへと走り出した。


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