駆け抜けた少女【完】




大和屋討ち事件は、矢央が止めようが結局は史実通りに終わった。


夜が更けた頃、矢央の姿は屯所の庭にあった。


ずっと考えていた。


この事件は芹沢の仕業に過ぎないが、それをやらしたのはまさか自分の中にいる人物の仕業ではないのかと。


今までのお華は、か弱いイメージで、近藤達を守りたいという優しい気持ちを感じていたのに。


『邪魔者はいらない』


そう言ったお華に言葉を失った。


言いようのない恐怖を感じた。

自分の知らないとこで、お華が何を仕出かそうとしているのかわからなくて。


これから何か起こるたびに、身の縮む思いを味わうのか。


「お華さん、何とか言ってよ…」


自分から、お華とコンタクトはとれないものか。

しかし、もしコンタクトがとれても自分に何が出来るのかもわからない。


不甲斐ない、何か意味があってこの時代に連れてこられたはずなのに未だ何もわからない。


どうしたら……

どうしたら……




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