駆け抜けた少女【完】


「私を除け者にするなんて……」

いじいじと膝を抱き俯く沖田。

サラッと黒髪が肩から落ちる。

その様子を、未だにブルブル震えなが矢央は見ていた。



「罰が当たりますよ――だっ!」

イーっと、原田に向かって悪態をつく沖田は、いつもより幼くみえて


頭をかきながら永倉は、むくれる沖田の肩を叩いた。


「悪かった悪かった。 次があるとしたら、ちゃんと総司にも声をかけるから」

「本当ですかー? 約束ですよー?」


こうなると沖田はしつこい。


ただをこねると、矢央と張り合えるんじゃないかというくらい子供に戻る。


普段は冷静沈着で、戦いになると冷酷さを出す青年と同一人物か一瞬疑ってしまう。


「次があったらなって言った…ろ」


厠に行って来ると続けようとした永倉は、廊下に出てピタリと止まった。


何を見て固まっているのか、その顔は青ざめ口元をヒクヒクさせているのが気になるところ。


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