駆け抜けた少女【完】
「矢央ちゃん? どうかした?」
布団敷きを半分していた藤堂も会話に混ざる。
青ざめた表情の矢央を見た後、藤堂は沖田に視線を移し矢央を指差した。
沖田も理解不能だと首を傾げている。
あれって……誰?
他の隊士とも考えられたが、何故かそうは思えなかった。
雰囲気というか、感で。
「にしても今夜はあちぃな。
ん? なんだなんだ? なんか重苦しいなあ、おい」
「まあた、矢央がやったか?」
部屋を出ていた原田、永倉が部屋に戻ると、藤堂、沖田同様に首を傾げる。
.