駆け抜けた少女【完】
ゾッと、背筋に悪寒が走った。
お華の目が急にスーッと色を落としたからだ。
先程までの穏やかさはなく、邪悪ととれるオーラが辺りを包んでいる。
知ってる。 これだ……お華さんに感じていた違和感…。
最初の頃は弱々しいお華だったが、時間が経つにつれお華は過激な発言が増えていった。
"邪魔者はいらない"
そう言ったのも、お華だ。
「あなたは、もう二度とあの時代には帰れない。
私の願いを叶えてくれないなら、あなたが此処にいる意味は無くなるのよ」
「なにそれ……っ、脅してるの?」
矢央が此処にいる意味がないとは、どういう意味なのか。
「彼らは、あなたに私の影を見ている。 あなたが、私じゃなくなれば……彼らが、あなたを匿う理由はなくなるんじゃないかしら?」
ゴクンと唾を飲み込む。
不安が胸いっぱいに広がり、お華の邪悪なオーラが増す。
矢央は恐怖に、立ち上がり距離を取った。
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