駆け抜けた少女【完】
第十話*決別の果て
それと同時に、お華もスーッと立ち上がりクスッと笑った。
花が舞うような可憐な姿の中に、恐怖を纏う天女といった雰囲気だ。
怖い、怖い、怖い!
「あなたはね、此処にいなきゃ生きていけないの。
この時代で生き抜く術を知らない赤子も同然のあなたは、彼らに守られなきゃ生きていけない。だからお願いしているの、彼らに守られている間は、あなたも彼らを守ってほしいと――…」
「あんたに言われなくたって、私だって彼らに感謝してるから、出来る限りでの恩返しはするわよっ!
でも、あんたの言いなりになんてならないから」
お華は、沖田達を本当に愛しているんだろう。
だからこそ、何を犠牲にしてでも彼らを守りたいと強く願っている。
その気持ちは、矢央にだって伝わっている。
が、どうしても、今一つ納得がいかないのも事実だった。
「未来を知らないあなただけじゃ、彼らと共に過ごす未来は来ない。 私の力がなければ、いづれにせよ、あなたに未来はない」
「だったら、私自身で道をひらいて行くまでよっ!」
根っからの真っ直ぐさが矢央の弱みでもあり、そして強さでもあった。
お華は、どう受け止めたのか。
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