駆け抜けた少女【完】

しかし、お華は攻撃体勢を崩そうとはしない。


お華さんっ……。


戦いたいわけじゃないのに。


あんな言い方をしたのが悪いんだとわかっている。


"言いなりにはならない"



だが、矢央とお華の根本的な願いは同じだ。


彼らに無事でいてほしいこと。

なのに、矢央はやはりお華を信用できないでいた。



だって、だってお華さんは…。



――――ガッガッッ!


もう一度、刃が矢央に向かってくる。


今後はちゃんと見えていた、後は避ければ済むと思い足を下げた瞬間―――



―――ズルッ…


「しまっ……!?」


洗濯物に足を取られ、体が傾いた。


このままでは直撃だ、と矢央はギュッと瞼を閉じた。



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