駆け抜けた少女【完】
突然現れた救世主、山崎に怒鳴られるも、感激とばかりに瞳をキラキラさせる矢央がいた。
ジッと見つめて来る矢央に、怪訝そうに方眉を器用に上げた山崎。
「なんやねん?」
「いやぁ、山崎さんって男前だったんだなぁっと思いまして」
「…………」
―――ドサッ!
「いて―――っ! いきなり、手放さないで下さいよっ」
一瞬の間の後、スルッと矢央から腕を放した。
その拍子に、床に体が落ちた矢央は山崎に抗議の意をぶつける。
「お前が、腹立つこと言うんが悪い」
無表情にそう返した山崎は、既に臨戦態勢に入っていた。
矢央も腑に落ちないとこもあるが、今は現状を打破すべく山崎の隣に立って構える。
二人に睨まれたお華は、
「……邪魔者はいらないのよ」
また、そう口にした。
.