駆け抜けた少女【完】
――ガッ、ガッ、ガッ!
「……っ!?」
山崎の目が、ギョッと大きく開く。
見ている場所は、ただ一点のみ。
「消えた…やと? 何処行きよったっ!?」
山崎が放った刃は、お華をすり抜け三本共壁に突き刺さっている。
そして、そこにいたはずのお華は一瞬にして姿を消した。
体勢を起こし、辺りをくまなく探るが、何処にも姿は見当たらない。
「ほんまに、化けもんや……」
山崎の声は、雨音にかき消された。
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