駆け抜けた少女【完】
「山崎と矢央に聞いた話によれば、お華は確かに見えたらしい。 だが、その姿は奇妙だった……だな?」
困惑する者をさて置き、土方は山崎に問うた。
一斉に山崎に視線が集中する。
「奇妙でした。 姿はあるのに、物を受け付けない。 体が透けていて、全ての攻撃が当たらない」
「まさか…本当なのか?」
誰がそう尋ねたのか、しかしその問いは皆が一致したものだ。
「俺は、お華という者の姿も経緯も知り得ません。
しかし、間島は確かに"お華さん"と言っていた…そして、異様な気配に怯えていた。
その者が、間島に攻撃したので副長の指令通り保護しようとしましたが、刀がその者をすり抜け……姿を消しました」
色白で無表情な顔を微動だにさせず、淡々と語る山崎。
現実味がないが、山崎は兎に角矢央がお華だと言うなら信じられた。
「いったい、どうして?
なんで、お華ちゃんが矢央ちゃんに……」
お華はおとなしい少女で、優しく虫させ殺せないような女子だったのに、と藤堂は戸惑っていた。
まさか、お華が矢央に危害を加えるはずがないと。
「局長方をお守りしたいがため、邪魔者を排除しなければならないと言っていましたが?」
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