駆け抜けた少女【完】




九月初めの京は、まだまだ猛暑日が続いている。



暑さを凌ぐために、近藤の部屋の戸は全て開け放たれていた。

庭から見える部屋の中には、近藤、土方、山南、沖田の四名が難しい顔をして談義している。


「まったくよ…。 本当に次から次ぎへと問題を起こしてくれやがる」

「そう言う君も、この度は同行していたようじゃないか?」


筆頭局長である芹沢が、また問題を起こした。


芹沢が通っていた吉田屋という店の芸妓・小寅は、ある日芹沢に関係を迫られる。


しかし、小寅はそれをきっぱりと拒否した。


その頃の芹沢は、とにかくいつも気を荒立てている状態で、いつ何を仕出かしてもおかしくない状況が続いていた時だった。

小寅が肌を許さなかったことに立腹した芹沢は、あろうことか吉田屋に乗り込み主人を脅し、小寅と小寅の付き添いの芸妓・お鹿を呼びつけ、両名に罰として断髪させたのである。


そして、当て付けのように酒を煽り店で暴れていったという。



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