駆け抜けた少女【完】
ギシッと、一歩踏み出しかけて立ち止まった山崎。
矢央はなんだ(?)と、小首を傾げた。
「後で、同じ隊につく奴をお前にも会わせるよって、今日一日は外出せんといてくれ」
「はい…」
山崎は去った。
しかし、矢央はまだ小首を傾げたままだった。
山崎の雰囲気に気になるとこがあったからだ。
同じ隊につく人……なにかあるのかな? 山崎さんの空気が一瞬変わったのが気になる。
気になりつつ、その謎もいつか解けるだろうと気にするのは止めた。
このあたりは、此処に来て更に磨きがかかった矢央の楽観的なとこだ。
悩むことは多々あるが、無い頭で考えていても拉致があかないのなら、いっそ考えないでいよう。
そのうち勝手に結論に結びつくだろう、とそんな風に考えるようにした。
「んー…じゃあ、山崎さんが来るまで字の勉強でもしようかな」
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