駆け抜けた少女【完】
「アハハハッ! 全否定ですねぇ」
「可愛がってもらってるようには感じたことないですもん!
どっちかと言えば、呆れられてる?」
「馬鹿な子ほど可愛い」
「………………」
「………アハッ」
「アハッ」と可愛くウィンクなんかされても、全く笑えなかった。
つまり沖田は、矢央を馬鹿だと思っている。
「まあまあ、そう気に悩まないで。 あなたの明るさで、元気を貰っている人達も少なくないんですよ」
「……そ、そうかな」
単純な女代表、間島矢央。
沖田は、愉快愉快とにやける口元を手で隠していた。
落ち込むことが続く矢央。
毎日、無理矢理笑顔を浮かべている矢央が痛々しくて。
沖田は、そっと頭に触れた。
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