駆け抜けた少女【完】
―――――グシュッ!
「ぐっ……ウウッッ……」
自ら腹を斬った新見は、口から溢れ出る血をダラッと流しながら、遠のく意識の中、沖田を睨んだ。
平然とした顔で新見の最期を看取ろうとする。
自分より遥かに若い青年だ。
「お…きたよ……覚えておけ、俺が死んだからと言って…ゲホッ…ウッ……壬生…ろうじぐみがぁっっ…近藤のもの…にはならぬ…っ…」
最期の足掻きに新見は沖田に伝えた。
さすがの沖田も、ほんの一瞬だけ瞳を揺らせたが、また直ぐに元の顔に戻すと
「何の事でしょう? 近藤さんは、新見さんの死を心より悼まれると思いますよ」
「…ぐっ…ほざけ……」
新見が見た沖田の笑顔は、まるで死を招く死に神が笑っているようだ。
痛みに苦しむ新見を楽にすらしてやらず、少しずつ死にゆくのを笑みを浮かべ見つめているのだから。
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