駆け抜けた少女【完】
ガハハハと腹を抱える原田の姿が見える。
沖田は畳に肘を付き、額を押さえながら庭先にいる三人ににこっと笑みを向けた。
瞬間、彼らの背筋に悪寒が走ったとか走らなかったとか。
「ッッッッッッ!」
「アハハ、お寝坊さんの上にお転婆さんでもありましたねぇ?」
「?」
既に平然な顔をして起き上がっていた沖田に引っ張られ起こされた矢央は、またお礼を言おうとして固まった。
天使の仮面を被った悪魔がいる。
にこにこと微笑みを浮かべているはずなのに、その目が酷く恐ろしい。
「さぁ…起きてください?」
「…………あい」
この時少女は誓った、沖田総司は怒らせてはならないと。
本気で怖いよ。