駆け抜けた少女【完】
「お前達の敵は……本当は誰か考えたことがあるか?」
――――本当の敵?
芹沢が何を言いたいのか分からない。
「……さあ、どなたでしょうか? 今はあなたがそうでしょう」
「…甘い、甘いぞ。 その温さに笑いさえ起こるわ……そらっっ!」
「………」
腕力で跳ね退けた芹沢は、後方へと一気に下がる。
沖田が後を追うなか、土方は芹沢の言葉の意味を考えていた。
本当の敵つったな。
芹沢は、まるで自分が今日やられることを知ってたような口振り……まさか、仲間に密告者がいんのか?
ギンッ カンッ ガッ カキィンッッ
「……いってぇ、誰が」
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