駆け抜けた少女【完】
「新撰組の仕事にしろ、こいつ自身が抱えてるもんにしろ、こいつが強くなけりゃ、どちらにせよ耐えられねぇだろ」
「……だったら、僕が守るよ」
「平助、お前」
「どんなことがあっても、必ず僕が矢央ちゃんを守る」
キュッと帯を締め、藤堂は布団に寝転がった。
「新撰組も、僕が守るよ」
ニッと、口角を上げた。
つられて原田も笑う。
「てぇした口だな」
「うっさいよ。 さぁて、僕はもう寝るから、おっさん二人は静かにしてね」
ひらひらと手を動かす藤堂。
宣言通り、直ぐに寝息が聞こえてくると永倉、原田は顔を見合わせ苦笑いするのだった。
「若いっつーのは、突っ走れていいもんだ」
「おいおい、新八よ…俺らも若いって」
「はは。 こいつらに比べりゃおっさんだろ」
「いーや! 俺様は、まだまだ若いぜ!」
「言ってろ」
夕闇に暫し笑い声が響いた。
そっと、聞き耳をたてる者がいるとも知らずに――…。
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