駆け抜けた少女【完】
浮かない空気。
ただ一人の少女がいないというだけで、こうも覇気が下がるものかと。
何処にいんだよ、矢央……?
口には出さないが、心配している者達も少なくない。
七ヶ月。 たった七ヶ月かもしれないが、彼らにとっては仲間なのだ。
だがそう思っていない者も少なくなく、試衛館組とは違う幹部や、あまり矢央と関わることのない隊士の中には矢央も間者だったのではないかと言う者まで現れた。
此処まで捜して見つからないのならば、何処かに匿われているのか、既に京を出てしまったかだろうと。
「……そろそろ決断する時期がきちまったな」
今まで黙っていた、土方がここにしてようやく重い口を開いた。
誰もが感じた緊迫感に、嫌な汗が流れた。
「間島矢央を、脱した者とみなす」
誰もが、いつかこの言葉を聞く日が来るとわかっていながら、その時が来ないでほしいと願った――――。
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