駆け抜けた少女【完】
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――時同じく、新選組屯所では一騒ぎが起きていた。
「……いってぇ何の騒ぎだ?」
沖田より遅れて帰隊した永倉は、屯所前で平隊士達に後の指示を出すと、何だか騒がしい八木邸へと足を向けた。
玄関を通り、普段会議が開かれる広間へと向かって進む。
此処だな……。
不穏な空気を感じ永倉は腰の刀に手を添える。
屯所の中から怪しい気配を感じるのに違和感を感じながら、永倉は障子に手を当て勢いよく開けた。
スパーンッ!と、障子が開くと同時に視界に入ったものが信じられず、永倉は眉を寄せた。
「なんでまた……お華が?」
固まったまま入り口に佇む永倉を見もせず、土方は「戸を閉めろ」と指示を出す。
その声に含まれていたのは苛立ちだろうか。
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