駆け抜けた少女【完】


「どうしても皆さんの側で、皆さんの力になりたいと思ってしまった」


"死んでほしくない"とは言えずに、お華は辛そうに表情を歪めた。


「強く願ってしまった。 まだ逝く訳にはいかない――と」


強く強く願った想いは、未来へと飛んだ。


「私の魂は願ったことで成仏することなく、家宝であった赤石に引き込まれてしまったんです」


沖田は思い出していた。


祖父を失った後、お華が埋めていた物のこと。


そしてそれが矢央の持っていた、あの赤石であることを。


「もしかしてそれって……矢央ちゃんが持ってるやつ?」


藤堂が静かにお華に尋ねると、お華は無言で頷いた。


「なんだよ、赤石ってのは?」


沖田と藤堂以外は、その存在を知らなかった。


「それが、私と少女を繋ぐものです。 そして、赤石こそが、今の私自身……あれが消えれば、私は魂をも消えてなくなります」

「んじゃあ、今、俺と話してんのは……」

「矢央さんを、こちらに呼んだことによって私の姿を具現化する力を得たんですよ」


原田の質問に淡々と答えると、お華は一つ息を吐いた。



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