駆け抜けた少女【完】
「以蔵――っ! 矢央――っ! おまんらいったい、今まで何しちょたがかっ!?」
坂本龍馬のもとへ無事帰ってこられたと安堵したのも束の間、龍馬は二人の姿を見るなり、ぐわっと目を見開き飛びかかってきた。
いきおいと重さに負けた二人は、尻餅をついてしまった。
「あまり心配させるな……。 こう、腹の辺りがヒヤヒヤしたぜよ」
「ごめんなさい」
「す、すまん……」
本当に心配してくれていたのだろうと、龍馬を見て分かる。
先程まで外出していた身なりは、いつもより荒れていて、この寒さだというのに額にうっすら汗も滲んでいた。
素直に謝る二人を見て、龍馬はそれ以上怒りはしなかった。
「なに。桂さんが、助けてくれたがか?」
部屋に移動し、お龍が支度してくれた夕餉を食べながら、これまでのことを話した。
新選組に見つかり、川に落ちた。
そして、そこを桂が助け、今まで休ませてもらっていたと。
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