駆け抜けた少女【完】
「……うふふ……」
突如笑い出したお華に、土方は眉を寄せた。
「新撰組を無くす程の力は私にはありません。 けれど、歳さんの言われる通り、新撰組の力になりたいのは嘘…かもしれない」
「お前……」
「私は、ただ平和に暮らしたかった。 ただそれだけです」
それ以上は語らないといった眼差しのお華。
土方は舌打ちすると、膝に手を起き立ち上がった。
――サァ――……
「お前は………。 いや、今はいい。 邪魔したな」
中途半端な言葉を残し、土方は部屋を去った。
また暗闇に一人残されたお華は、クスリと微笑む。
「また、闇に帰って来てしまった……」
呟きは誰にも届くことはない。
ましてや、頬を伝う涙にも。
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