駆け抜けた少女【完】
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涙が溢れて止まらない。
白い手で幾度拭っても、また新しい滴が頬を滑る。
別れがこんなに悲しいものとは思わなかった。
そう思うのは、以蔵や龍馬ともう会えないと分かっているから。
会うわけにはいかない。
両者は仲間にはなれず、会えば更に辛い思いをする。
分かっていても、また会いたいという気持ちが込み上げた。
現代ならば、こんな辛い別れなどせずに済むのにと、滲む空を見上げていた――――……
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