駆け抜けた少女【完】
「今もね、不安だよ。 私だって、みんなに死んでほしくない。 だけど、あの人達は新選組は死ぬために戦ってるんじゃない。 生きるために、戦ってるんだって分かった。
いっぱい悩んで悲しんで苦しんで、此処まで来たんだよ」
これからも、きっと彼らは悩み苦しみ、悲しい別れがあるかもしれない。
それでもそれを受け入れているからこそ、彼らは戦っている。
「あの人達を救う必要なんてない。 新選組は、強い人達だから」
「……っ!」
だから、そんな彼らに負けないように己も強くなると決めたのだ。
守られるばかりではなく、共に歩めるようにと。
もう逃げないと。
「お華さんも、分かってあげなよ。 救いたいのは、本当はお華さん自身じゃないの」
いつからか考えていた。
お華は、彼らを救いたい守りたいと言うが、それは本当に彼らに向けてなのかと。
死しても尚、強い想いに縛られているお華。
本当は―――――……
「……今に分かる。 愛している人の死を見なければならない辛さを」
「お華さんっ?」
気になる言葉を残し、忽然と姿を消した。
消える瞬間見えた瞳は色を映していなかった。
お華さん……みんな……。
いったい、どうすればいいのか。
また一つ、悩みが増える。
もうすぐ始まる、血の夜。
その時は直ぐそこまで迫っていた―――――――
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