駆け抜けた少女【完】
壬生浪士組の仕事がわかってきた矢央は、今、藤堂が仕事に出ているのは知っていたが、姿の見えない永倉や原田が何処にいるのか疑問に思ったのだが、尋ねた沖田からの答えは聞いたことのないもので、こてっと首を傾げた。
その様子を見てクスッと笑みをもらした沖田。
「それって、お仕事ですか?」
「んー…まぁ、今日は仕事の一環ですが。任務というものではありませんねぇ」
仕事の一環だが、仕事じゃない。
……なにそれ?
こちらに来てからというもの毎日これの繰り返しだ。
「結局、島原ってなんなんですか?」
にこにこしてばかりで、一向に教える素振りのない沖田に業を煮やす。
そんな時、門先から騒がしい声がして暫くすると。
―――サァー…
小さく開けていた障子に手が入り込み、ゆっくりと開いた。
「―――わっ!?」
「…んだよ、新八なに驚い…」
噂をすればなんとやら…、話のネタにされていた永倉、原田の二人が帰って来た。
部屋に明かりは灯っていなく、てっきり眠っていると思って静かに障子を開けたのに……
「なにやってんだよ、お前らは」
ハァ…と、永倉から大きなため息が漏れた。