駆け抜けた少女【完】
「私知ってるんだ、コレの事……」
すんなり手に馴染む感覚、懐かしくて堪らないと同時に何故かとても悲しいソレ。
――――ザザザー……
また風が吹き、その風に舞った桜の花弁が少女を包んでいく。
―――どうか……。どうか、彼らを守って……。
その声を最後に、少女は姿を消した。
その日、日本列島に春一番が吹き荒れ一日して全国の桜が一斉に散ってしまうといった歴史に残る気象現象が起きた春の事であった。