駆け抜けた少女【完】
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その頃、当事者である矢央は尾行の真っ最中であった。
今日も巡察でいないと思っていた永倉と原田が、そそっくさと外出するの見て後を着けようと思い至ったのである。
あんな誤魔化しで納得するわけないじゃない。
きっと今晩も彼らが向かうのは、島原という場所だろうと考えている。
溢れる好奇心をどうしても抑えられない矢央は、島原が何かをどうしても知りたくて仕方ない。
ちゃんと教えてくれない二人が悪いと、後で怒られた時の言い訳も考えてある。
そんな浅はかな考えが、やはりまだ一人で出歩かせられない理由の一つだとまだ気づかない。
そう矢央はまだ、この時代がどんなに危険なのか全くわかっていなかった。