駆け抜けた少女【完】
天井が霞んでいく一方で、やけに頭は冴えていく。
ゴッソリと抜け落ちた記憶と、自分がしたはずのない怪我。
何よりも気になるのは、夢。
あれは、紛れもなく私だった。
夢の中の綺麗な少女と、その少女が泣き崩れている傍らで、不気味に微笑んだ少女。
――――ゾクッ……
どちらの少女も自分。
泣いていたのも、笑っていたのも、どちらも。
「……うっ……っ……」
とめどなく溢れ出る涙の粒。
苦しくて仕方なかった。
腕の痛みからくるものではなく、ずっと昔から抱えた悩みを思い出したかのように
心が痛い―――――――