駆け抜けた少女【完】
暫く続けていると、スゥーと寝息をたてはじめた矢央に安堵の息を吐いた。
「眠ったか?」
騒ぎをおさめた永倉が、沖田の背後から様子を覗く。
「ええ。 ねぇ、永倉さん」
「ん?」
「私は、この少女とどう向き合えばいいのでしょうか?」
未だに迷う心。
数週間共に暮らして矢央という少女を知った。
明らかに沖田達が知った少女とは違う矢央に、沖田は次第に戸惑いを感じる。
「矢央さんを受け入れてるんです。 慣れない場所で健気に生きる彼女を彼女として……
ですが―――………」
時々ふとした時に、自分の心にいる少女と重なってしまう。
「総司、矢央は矢央であって……お華じゃねぇ」
「……そう…ですね」
わかっている。
間島矢央が、近藤華緒ではないことくらい。
わかっているが―――――